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疼痛が発生するメカニズム

疼痛が発生するメカニズム
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筋肉に過剰な負荷のかかる仕事

 現代人の生活リズムが早くなるにつれて、仕事のプレッシャーが増しその不健康なライフスタイルは、例えば麻雀や長時間のパソコン利用、長時間ベットに寄りかかり本を読む、或いはテレビを見るなど、持続的に不良姿勢が長く続き、筋肉の慢性的な緊張状態を引き起こします。長時間の不活動は筋肉の硬直や筋力低下を起こします。筋肉の慢性で過剰な負荷のかかる仕事は労作性損傷を引き起こし、私たちはこれを「オーバーユース症候群」「反復性運動損傷」「反復性筋違い」「蓄積損傷」「職業性筋痛」と呼びます。筋肉の過度な使用を続けると、筋膜痛を引き起こします。

筋肉が圧迫を受ける

 物質的な生活が非常に豊かになった今日、過剰な栄養は人体の健康を害する主な原因となります。過剰な摂取により肥満、体重超過、体型が崩れて筋肉の過剰な緊張と労作性損傷を引き起こします。人体の体重が1kg増加するごとに、運動中に膝関節にかかる負荷は4kg増加します。更にいつも非常に重い物を背負っていると、筋肉の損傷を引き起こします。小中学生を対象とした調査では、かばんの過積載による背骨の弯曲や変形が多く報告されています。慢性疾患の患者が長時間ベッドに横たわっている場合も、筋肉の緊張や痛みを生じることがあります。中国医学では「長時間の座位が筋肉を傷める」という言葉もあり、筋肉が長時間圧迫されていると無菌性炎症や浮腫、筋膜の伸張による痛みを引き起こす可能性があります。

外傷要素

 筋肉が転倒、衝突、または突然の捻挫にさらされると、筋肉は過剰に収縮または過剰に伸ばされ損傷につながります。なぜなら、軟部組織が上記のように損傷すると骨折、肉離れ、捻挫、脱臼を伴うことが多く、組織の水腫が産生され組織内部の内圧が高くなり、痛みを引き起こします。

医原性要素

 手術で使用される装具、紐、石膏固定などの医学的手段により、身体は不活発な状態に保たれ、時間とともに廃用性筋萎縮が形成され、筋膜痛が発生します。殿筋注射の中で、特に小殿筋注射は化学薬物刺激により患者に極度の痛みを伴う坐骨神経痛を引き起こし、それが数カ月続くこともあります。関節痛の有る患者にはステロイド注射が行われますが、表面的には患者が寛解したように見えるにもかかわらず、3~5カ月後、骨関節を引張る力が継続的に加わり、最終的に病態は更に悪化し、再発につながりました。ステロイド自体が過剰に使われると、骨結合組織、筋肉、靭帯、腱の重度の変性を引き起こし、断裂を引き起こします。外科手術では通常3~5年後に説明のつかない痛みを生じます。うつ病、興奮剤、高血圧の治療薬は、実際の病気よりも深刻な問題を引き起こす可能性があります。例えば、高血圧の治療に使われるカルシウム拮抗薬は痛みを悪化させます。

・カルシウム拮抗薬
①アムロジピン(ノルバスク)
②ニフェジピン(アダラート)
③アゼルニジピン(カルブロック)
④シルニジピン(アテレック)
⑤ベニジピン(コニール)
⑥ベラパシル(ワソラン)
⑦ジルチアゼム(ヘルベッサー)

骨関節の異常な骨格構造

 骨格構造の先天異常、脚の長短、骨盤の非対称、腰椎横突起の左右差、上腕の短さ、足の第2趾骨が長すぎるなど、このような状況により、一部の筋肉が持続的に収縮または弛緩し。このバランス不均衡を補うために、関連する筋肉の労作性損傷が生じます。脚が長い、又は短いと脚、腰、背中、首の筋肉が緊張し、労作性損傷が生じます。身体の片側がもう一方より小さい場合があります。例えば、片側の骨盤が反対側の骨盤より小さい場合、座っている時に患者が骨盤傾斜が発生し、背骨の異常な湾曲を引き起こし、大腰筋やその他の背中の筋肉に対して余計な負担を生じます。この影響は頚部の斜角筋や胸鎖乳突筋に影響を与えます。同じ足を常に上にして長時間足を組むと、同一側の脚が上にあり、骨盤の不適合が相殺される可能性があります。骨盤の小さい側に座布団を敷いたり、薄いクッションを敷いて座ったりすると、この不適合による痛みを改善する補助になります。これは痛みが局所的な問題だけでないことを意味しており、離れた他の骨関節病変の牽引作用を引き起こす可能性があります。一部の局所治療を行うだけというのは効果が無い可能性があり、それが多くの医師の治療効果が悪い主な理由になります。上腕が短い場合、座位姿勢で肘を支えるには高いひじ掛けを使う必要がありますが、肘の支えがないと僧帽筋や肩甲挙筋の持続的な労作性損傷が起こり、頭痛や首の痛みの原因になります。

反復的な動作

 多くの仕事は反復する動作が多くなります。たとえ軽い力しか必要としない運動であっても、繰り返しの動きは筋肉に過負荷を与える可能性があります。激しい運動をすると疲れやすくなりますが、休憩に注意が向き、損傷を引き起こすことはありません。軽い反復動作の中、身体の他の筋肉は動いていないように見えますが、実際には体の静的バランスを維持するために収縮状態にあります。時間が経つと損傷や痛みを引き起こします。

ビタミンとミネラルの欠乏

 一部の学者は慢性疼痛を治療中の患者の半数は、何らかのビタミンとミネラルの欠乏があることを突き止め、そのように認識しています。人体のかぎとなる栄養素は包括的にビタミンB1、B6、C、葉酸などがあります。カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウムなどのミネラルも非常に重要です。高齢者、妊娠中の女性、うつ状態の人、重篤な疾患のある人は、タイムリーなサプリメントの摂取に特に注意する必要があります。さらに多くの患者は、ビタミンやミネラルの摂取がとりわけ不足しているわけではありませんが、ビタミンやミネラルの吸収を妨げるものを摂取しているため、相対的にビタミンやミネラルが不足しているのです。例えばタバコを吸うとビタミンが破壊され、飲用する水が多すぎると、ビタミンBの排泄を促進します。アルコール、制酸薬、お茶に含まれるタンニン酸はビタミンB1の吸収に影響を与えます。制酸剤もまた葉酸の吸収に影響を与えます。経口避妊薬はビタミンB6の欠乏をきたします。抗結核薬や副腎皮質ホルモン薬はビタミンB6の欠乏をきたします。その他に過剰のビタミンCと葉酸を摂取するとビタミンB12を枯渇させます。カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウムは筋肉の機能を正常に維持するために不可欠な元素です。カルシウムと鉄の交換は、筋線維の収縮と弛緩に直接関与します。鉄は、血流によって運ばれる栄養素と酸素を筋肉が利用するのを助けます。鉄分は体温調節にも関与しており、鉄分が不足すると常に冷えを感じます。しかし鉄分摂取が多すぎると、皮膚の変色、心臓病、脳卒中後の回復の遅れを引き起こします。カリウムの欠乏は心筋と平滑筋の機能に影響を与えます。マグネシウムは生体内でカルシウムの利用を補助し、マグネシウムの欠乏は筋肉の過度な興奮と筋力低下と密接な関係があります。

ビタミンB1を豊富に含む食品:豚肉(赤身)、うなぎ、たらこ、ごま、大豆
ビタミンB6を豊富に含む食品:にんにく、ピスタチオ、ドライバナナ、マグロ、牛レバー、ビーフジャーキー
ビタミンCを豊富に含む食品:パプリカ(赤)、キウイフルーツ、イチゴ、ブロッコリー
葉酸を豊富に含む食品:ブロッコリー、枝豆、芽キャベツ、ほうれん草(生)
カルシウムを豊富に含む食品:干しエビ、牛乳、シシャモ、イワシ丸干し、小松菜、焼き豆腐
鉄分を豊富に含む食品:レバーや牛もも肉などの赤身の肉、かつおやマグロなどの赤身の魚、赤貝
マグネシウムを豊富に含む食品:ごま、アーモンド、アオサ、ひじき、ワカメ、干しエビ、きな粉
カリウムを豊富に含む食品:昆布、干しひじき、切り干し大根、アボカド、ほうれん草、バナナ、メロン

代謝異常の要素

 化学元素や内分泌の異常が体内で発生すると、痛みが生じ、治療が難渋することが増えます。例えば五十肩では、その発生には体内のホルモン代謝が関係しています。更年期を過ぎると、治療を受けなくても90%以上の症例が改善または治癒します。甲状腺ホルモンの分泌不足の典型的な症状は筋肉の痙攣、脱力、硬直、疼痛で更に慢性疲労、冷え性、皮膚の乾燥、月経不順などがあります。リチウムは甲状腺の分泌レベルを下げられますが、エストロゲンはこのレベルを向上する作用に変わります。つまり、リチウムは間接的に人体の痛みを増悪させ、エストロゲンは痛みを軽減します。痛風は臨床的によく見られる慢性疼痛であり、プリン代謝異常や尿酸排泄異常による血中尿酸の上昇によって引き起こされる特異な疾患です。痛風では、尿酸値の結晶が関節に沈着し、局所的な発赤、腫れ、熱感、痛みを引き起こします。過剰な豆類、肉の摂取、飲用水が少なすぎるなどの場合は、尿酸血症を促進する可能性があります。ビタミンCを服用すると痛みが軽減されます。

心理的要素

 痛みは心理的感覚です。緊張、焦り、神経過敏は痛みを増悪させます。精神的なリラックスは筋肉の緊張を軽減します。筋肉の弛緩によって痛みが軽減されることはありませんが、医師の治療で良い結果が得られる可能性はあります。

その他の要素

 多くの要素が痛みを引き起こします。慢性的な睡眠不足も重要な原因です。内臓疾患や慢性感染症も痛みの原因となります。
要するに、多くの要素が痛みを引き起こします。治療の際には、超微針刀を使用するだけでなく、発生原因に基づいた調整を行うことで原因や症状に対する治療を行うことができ、明らかに治療期間を短縮することができます。

参考文献:胡超伟,超微针刀疗法,湖北科学技术出版社:2014

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