今までは専門家の中で慢性軟部組織損傷疾患の範囲の認識が不足していました。慢性軟部組織損傷は筋肉や靭帯、筋膜、関節包、滑膜、腱鞘(神経、血管含む)に限定し、主に運動器の組織器官の障害を指していました。実はその認識は不完全で慢性軟部組織損傷疾患は上記に示した以上の組織器官が損傷を受けたことにより発生した疾病を指し、包括的に内臓器官及びそれに関与する神経、血管、靭帯、筋膜、大脳、小脳、延髄、脊髄など が含まれます。これらの組織が軟部組織である以上、これらが損傷する疾病は軟部組織損傷疾病でここから慢性疾病が引き起こされるので慢性軟部組織損傷の範囲に属するのです。例えば皆さんが知っている腸粘膜、脳出血、脳血栓後の後遺症などは慢性軟部組織損傷の範囲でしょうか?答えははっきりしているのです。
著者は元々慢性軟部組織損傷の範囲の疾患と考えていたわけではなく、慢性軟部組織損傷の疾患であろうと主張しました。これらの器官が元々軟部組織器官に属するため、各種の損傷を受けた後、一種の重い慢性病を引き起こし、これは通常いわれている慢性軟部組織損傷の病因病理と完全に一致します。それまで著者はその認識が無く、それゆえ有力、有効な治療法が見つかりませんでした。ひとつの観点を変えることは極めて重要であり、著者はこの類の疾病の本質を認識しました。
臨床で複雑な現象を目にしても迷うことなく、ゆえに的確で強力な措置を充分に講ずることが出来ることが分かり、とても頑固な内臓の慢性病変を根治させ、数えきれないほどの患者の苦痛に効果がありました。
参考文献:朱漢章:针刀医学原理,人民卫生出版社,2002