力の反作用の力を応力とも呼びます。様々な力が人体内に作用する時、反作用の力があり、ゆえに人体の影響に対する力学の研究において応力の概念を用います。人体内の3種の基本力学形式は引張応力、圧応力、張応力があります。
1.引張応力:引張応力は一つの線に沿った方向で、両端方向へ相反する中心から離れる作用をいいます。
2.圧応力:圧応力は一つの線に沿った方向で、相反する所から中心へ向かう力をいいます。
3.張応力:張応力とは一つの円の中心、或いは一つの球体の中心から周囲に拡散する方向に作用する力をいいます。
人体を構成する様々な物質は外的物性から分類することが可能で、剛体、軟体、流体に分けることができます。骨組織は剛体に属し、脳、脊髄、各種の内臓、筋肉、靭帯、筋膜、腱鞘、神経、滑液包、関節包などを含む様々な軟部組織は全て軟体に属し、様々な体液(血液含む)は流体に属します。圧応力は主に剛体に作用します。これは1本のラインに沿った相対する中心に向かう作用の力で、剛体、軟体、流体のいずれであっても圧力の影響を受ける場合がありますが、主に剛体です。引張応力の主な作用は軟体によるもので、それは1つのラインに沿った方向で相対する中心から離れるよう作用する力です。張応力の主な作用は流体によるもので、それは流体が流動する時、管腔の容量が小さく流体の流量が大きい時に産生する張力、或いは流体が閉塞、滞留する時に産生する作用の力です。
人体の全ての関節は骨性組織(剛体)から構成されているため、関節は主に圧応力の影響を受け、大脳、脊髄、内臓器官(軟体)は人体内でぶら下がるような様相を呈し、重力の作用を受けることでそれ自体の重量が対抗する引張力を発生し、ゆえに全てが引張応力の影響を受け、他の軟部組織(柔軟体)の両端または周辺が他の組織構造に付着し、そのためそれらも引張応力の影響を受けます。体液(包括的に血液)は容易に張力を産生し、組織器官内で張応力の影響を受けやすいのです。
参考文献:吴绪平,针刀医学临床研究,中国中医药出版社:2011